今更感もありますが、今回は情報工学では古くから提唱されている「DIKWモデル」と、我々コンサルタントの日常業務との関わり合いについて、皆さまにお役に立つであろう考え方をご紹介します。
「DIKWモデル(wikipediaでは「DIKW pyramid」として分類)」とは、情報工学の分野において「情報」を解釈するためのフレームワークであり、それぞれ「Data」、「Information」、「Knowledge」、「Wisdom」の頭文字を取ったものとして定義されています。
Data
それ自体では意味を持たない数字、記号などのシンボル
Information
データを整理して意味づけしたものであり、4W(Who、What、Where、When)の答えとなり得るもの
Knowledge
情報をまとめて体系化、構造化したものであり、Howの答えとなり得るもの
Wisdom
知識を正しく認識して価値観やモラルに昇華させたものであり、Whyの答えとなり得るもの
近頃はビックデータやIoT、統計などが大きく取り沙汰されていることもあり、耳・目にする機会も多いのではないでしょうか。
今回はこのDIKWモデルを、組織の階層に具体的に当てはめて考えてみた事例をご紹介します。
詳しくは「孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン(すばる舎)」に譲りますが、実際の組織階層にDIKWモデルの各レイヤーを当てはめてみると、各階層ごとに必要となる情報の種類が必然的に異なってくることが分かります。
出展:孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン(すばる舎)
ここでは、「各組織階層ごとに必要となる情報のレイヤーが変わるため、適した伝達が重要である」というのはもちろんのこと、「伝達した(広義の)情報が次に伝わる場所(=二段先)を意識する」ことが情報の価値を飛躍的に高めることになる点にフォーカスしたいと思います。
社内において、管理職にプレゼンするケースを考えてみましょう。
プレゼンの直接の対象者である管理職レベルが求める回答(Information)を提示することはもちろんのこと、その後に上申の対象となる事業部長レベルが求める回答(Knowledge)までをあらかじめ盛り込んでおくことにより、そのプレゼンは非常に受け入れられやすいものとなるでしょう。
このことは、そのまま我々のコンサルティングにも当てはまります。
お客様の課題はどのレイヤに分類されるものなのか。
課題に対するソリューションを提示する際に、そのソリューションが導き出すひとつ先の価値まで意識できているか。
普段からこういうことを意識できている人の検討資料や提案資料は、非常に見やすく、すっと理解できるものになっています。 (当然、その逆もまた然りとなることもありますが)
自分が持っている知識だけを起点にしたソリューションを一方的に提示するコンサルタントをよく見かけるようにも思いますが、それは果たして事業部長のHowにマッチするものなのでしょうか? ひいては経営陣のWhyにつながるものなのでしょうか?
コンサルティングなどと言う堅苦しいものでなくとも、普段のちょっした報告であったり、作成資料であったりが、二段先を意識できたものになっているでしょうか?
自分自身への自戒を含め、この記事が改めて皆様の普段のアウトプットを振り返るよいきっかけになればと思います。